人生でいちばん長かった夜。

生きてきていちばん長くて辛い夜があった。今でも忘れられないし、あの夜だけはもう二度と体験したくないと思う。ちょうど2年前、たまたま受けた検診でひっかかって急遽入院・手術することとなった。入院自体はそんなに辛くなかった、病院の食事もおいしかったし、施設も新しくきれいだったから。

前日に代わる代わる現れる、先生たちに手術の話を聞いて、当日の朝はゆっくりと過ごした。手術は午後1時からだったはず。看護士さんに呼ばれて、ベッドに寝たままオペ室へと向かった。テレビでよく見るような光景だった。手術台は冷たかった記憶がある。注射の針が苦手だということを看護士さんも麻酔科医も知っていたので、ゆっくりと私の左腕に麻酔の準備がされた。そこから記憶は途切れていて、起きたら病室だった。とにかく眠たかった。眠くて眠くて、起きているのが困難だった。横に母がいて、面会時間が終わるときに、声をかけられたような気がする。

ふと起きたとき、もう夜もふけていて、手元にあったiPhoneで時間を確認したところ深夜1時くらいだったと思う。昼間、昏々と眠り続けたせいか、そこから、なんと、眠れなくなった。術後だ。お腹が痛む。引きつるような痛み。身体には管がたくさん。身動きがとれない。両足のふくらはぎにも何か巻かれている。頑張って眠ろうとしたけれど、まったく眠れない。15〜30分間隔で起きてしまう。朝がくるのが、待ち遠しかった。お願いだから、はやく朝が来てと願った。もしかしたら、もう朝は来ないんじゃないかと不安になるくらい長かった。

あの日は、人生でいちばん長く、孤独で、辛い夜だった。

 

そしてあれから2年経った今日、大丈夫、もうあんな夜はこないように、こないように、と、小さな決意をした。

大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせる。あんな夜はもう過ごしたくないから、ちょっとだけ頑張ろう。できることからね。できることをやってみる。ダメなら諦めるけど、可能性のあることは何でもやってみる。

がんばるどーーー!

(といいつつ、めちゃくちゃ不安で一杯でときどき泣きそうになるのでした。頑張る。そんな夏です。何考えてるか記しておきたくて書いた。)