#わたしの転機

夕暮れの街を一人でぐんぐん歩く。学生の頃、大好きでよく昼寝をしていた公園の中を通り、キラキラと光る駅へ向かいながら、家に帰って何を食べようか、どの順番で食事の支度をしようか、そんなことを考えている。

 

気づけば転職して3ヶ月が経った。自分が転職するなんて1年半前なら考えられなかった。ずっと同じ場所でにこやかに働くものだと思っていたし、なんなら大好きな地元を離れることも頭にはなかった。けれど、いま、わたしは地元を離れ、福岡の街で働いている。

 

3ヶ月前まで、地方の広告代理店で仕事をしていた。すごく遠い昔のことのような気がするけど、まだ3ヶ月。新卒で入社した会社は、とても合っていて、居心地がよく、楽しい仕事ばかりさせてもらえた。ただ、去年の春頃からとにかく人がどんどん辞めて、びっくりするくらい社内の雰囲気が変わってしまった。居心地が悪く、あれだけ楽しいと思っていた仕事も、大きな案件ばかり抱えていたせいか、それが終わる頃には、ああもうここでの仕事はやりきったかも、と思い始めていた。この仕事を終えたら辞めていいな、そう思う仕事をここ2年くらい担当していて、ちょっとずつ新しい仕事がしてみたい、とも思うようになっていた。

会社の雰囲気が悪いこともあり、気づかないふりをして、一人で淡々と仕事をやることも考えて見たけれど、それよりも、違うことをやりたいと思う気持ちが勝っていた。

 

いろんな人に相談した。人生の先輩たちは、みんな口を揃えて「転職なんて辞めた方が良い」と言う。本当にそうなんだろうか?春から秋の初めまで身動きが取れないまま、悩んでいた。とりあえず、どうなるかわからないけれど動いてみよう。なるようにしかならないし、そう簡単にうまくいくものでもないかもしれない。雰囲気の悪い場所で、やる気がないまま仕事をするのもよくない、と思いたったのが9月。半年近く悩んでいたことになる。私にも慎重な部分があるんだなって、28年生きてきて初めてその時知った。

広告以外でやりたいことが一つだけあった。いつかそういう仕事ができれば、と2年前資格もとっていた。日常生活で役に立つことはないけれど、好きで勉強していた。ただ、珍しい職種で関東に行かないとできない仕事だ。こちらにはそんな仕事はないだろう、と安定しているような大学職員の求人情報を探す日々。そんな時、ある転職サイトで、本当に奇跡的に自分がやりたい仕事を見つけた。びっくりして、喫茶店で恋人に転職の話をしながら「私にぴったりの仕事を見つけた!どうしよう!やりたい!」と騒いだことを覚えている。

そこからは怒涛の日々で、試しに送った履歴書がうまくいって、2ヶ月にわたる採用試験を働きながら受けて、最終的に内定通知をもらうことができた。

 

そして私はいま、九州の都会で、できるはずない、と思っていた仕事に就き、10年付き合っている恋人と初めての2人暮らしを始めている。

 

ずっと働くと思っていた前の会社のことは今でも大好きだし、楽しい仕事をたくさんできたと思っている。あのまま会社の雰囲気が変わらなかったら、きっとあそこで一生働いていただろう。けれど、なるようになる、本当にやりたいことがやってみたい、と思って、まず動いてみたことが、いまの私につながっている。転職は、ある一種の運が働いたみたいだ。2年前、資格の勉強をしていたことが、いまここで生かされるなんて思いもしなかったから。

 

やりたいと思ったら、まず動いてみること。案外、すんなりとうまくいくこともあるかもしれない。

 

いま、わたしは、毎日とっても楽しくて、刺激的な毎日を送っています。