師走

12月だ。結婚して1年経つ。早い。とにかく、今年は大きい買い物をした。そう、家だ。小さなマンション。ずっと平家に住むのが夢だった。夫に、いつか平家を建てて欲しいとずーっと話していた。けれど、2年前の春ここに引っ越してきてから、あ、マンションも平家みたいなもんだなあ、マンションでもいいな、と思ってからが、早かったように感じる。夏前から、小さな、リビングと寝室があるだけの家が欲しくて探した。

私は、めちゃくちゃ面倒臭がりで、実家にいるときも、ずーっとリビングで過ごしていた。出窓にあるソファに寝転がって本を読みながら、うたた寝をして、ばかでかいダイニングテーブルで課題をし、母と妹とだらだら永遠にしゃべり、眠る時だけ自室へ行く。そんなくらしを30年近くしてきたのだから、私には自分の部屋は必要ない、と判断。ここに引っ越してきてからもそう。リビングで化粧をし、ソファでこうやってぽちぽちネットをして、眠る時だけ、寝室に行く。ちょうど良い生活。小さくて駅から近くて都会に歩いて行けるそんな場所を探して、探して、ここならお財布の範囲(50歳までに返済したかった)、むしろ余裕綽々だね、貸すことも売ることもできるね、そのときは、人生もう一度家を買っても、今度は建ててもいいかもしれない、そんな気持ちで買った。

今は、絶賛家づくりの真っ最中だ。自分の生活を一度振り返り、どんなふうに生きてきたから、それをどう家に落とし込むか考えている。大きなプロジェクトだ。

住んでいるいまの家の好きなところは、春になると桜が見えることだった。ちょうどソファからいい具合に満開の桜が見える。エントランスから出て、見上げると、咲き誇る桜がちらちらと降ってくる。でもね、来年の春は見ることなく、去ることになりそうです。新しい家で、新しい気持ちで過ごす。どんな春が私にやってくるか、今から楽しみだ。